バリア修復能の低下が肌荒れに
皮膚バリアの大切な機能は、体内の水分を逃さないことです。皮膚の表面は角層で覆われていますが、角層は大量の脂分を含みます。単純に言うと、水に脂分のふたをするようなイメージです。ラーメンや天ぷらそばの汁は、表面に脂分があるので湯気が逃げずに熱々であることと根本は一緒です。
角層に含まれるセラミドなどの脂質が足りなくなると、乾燥したカサカサ肌、つまり肌荒れになります。セラミドが含まれた保湿クリームなどをお使いの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一方、温度、湿度の変化、紫外線や浅い擦り傷に至る多くの刺激に臨機応変に対応できるように、皮膚は自らバリアを修理することができます。ここではこれを皮膚バリア修復能と呼ぶことにします。
バリア修復能を持つ健康な皮膚は、脂分のふたを臨機応変に修復できます。例えば、角層をテープで除去してふたが少しはがれても、皮膚は脂質を下から補って、即座に角層を修理することができます。
しかし、バリア修復能の低下した肌ではそれができずに乾燥したカサカサ肌になってしまいます。カサカサが進むとかゆみが出て、しっしんやアトピーに進行してしまい、ダニやハウスダストが入り込みやすくなります。ですから、角層を含む皮膚は、ただひたすら“あか”を作っているだけではなく、体を守る、とてもダイナミックな機能を持つ重要なバリア臓器なのです。
睡眠不足はやはり肌荒れの原因
睡眠不足だと肌が荒れる、というのは皆様も経験されているのではないでしょうか?では、睡眠不足は本当に皮膚バリア機能を悪化させるのでしょうか?
今回はそれを科学的に検証した興味深い研究結果を紹介したいと思います*1。健常女性に、以下の3種類のストレスを与えて、角層をテープで除去し、その後の皮膚のバリア修復能の変化をみました。
(1)ストレス1:擬似就職面接試験 【 圧迫面接 】
(2)ストレス2:睡眠不足 【 徹夜 】
(3)ストレス3:軽いエクササイズ 【 ウオーキング 】
ストレス負荷後の皮膚のバリア修復能はどうでしょうか?
結果、1の圧迫面接、2の徹夜では低下しましたが、3のエクササイズでは低下しませんでした。(グラフ参照)
このように、睡眠不足とバリア修復能、肌荒れの関係は科学的にも証明されています。
皮膚は文字どおり心身を映す鏡です。ストレス社会においては、何よりも質量ともに十分な睡眠、そして適度な運動と栄養バランスのとれた食事を心がけ、明るく楽しく、そして美しく生活したいものですね。
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この先生が監修しました。
Michael Lee(マイケル·リー)
若々しく力強い生き方の専門家
米国Duke大学卒業
大学病院で医師として様々なライフスタイルの患者を治療
Johnson & JohnsonでPMとして医薬品開発に参加
レイコップ株式会社で代表開発者としてQuality of Lifeに関連した製品を開発_____________________________________________________________