現在、世界中での主な死亡原因の 1 つは、動脈にプラークが蓄積して血管が狭くなり、最終的に血液の循環と体の機能に必要な血管が詰まることで起こる心臓病です。
心臓の健康は、私たちが食べる食べ物に大きく左右されることはよく知られています。塩分や飽和脂肪酸の多い食べ物など、多くの食べ物は、高コレステロール、高血圧、動脈のプラーク蓄積を引き起こし、最終的には心臓発作、さらには死に至る可能性があります。
食事は、病気の予防や既住症(または持病)の管理の両方において、心臓の健康に重要な役割を果たします。しかし、私たちが食べるものは、 実際に動脈の詰まりを解消する効果があるのでしょうか。 簡単に言えば、答えは「いいえ」です。動脈の詰まりを解消する食べ物やサプリメントはありません。ただし、健康的な食事と他のリスク要因への対処を組み合わせることで、プラークの蓄積を大幅に減らします。 もしくはプラークの蓄積の進行を大幅に遅らせ、場合によっては適度な減少につながる可能性があります。
食事療法で動脈の詰まりを解消できるか?
まず、動脈の詰まりを解消できる食品やサプリメントは存在しないということを明確にしておくことが重要です。プラークが形成され、特に進行した段階では、血流を回復するためにステントやバイパス手術などの医療処置が必要になる場合があります。しかし、心臓に良い食事療法は、動脈硬化の進行を遅らせ、血管機能を改善し、場合によってはプラークの蓄積を抑えることができます。
飽和脂肪酸、塩分、糖分を減らし、繊維、不飽和脂肪酸、特にオメガ 3 が豊富な赤身のタンパク質を増やすことに重点を置いた包括的なアプローチは、心血管リスク要因の改善に効果があることがわかっています。しかし、食事療法だけでなく、ほかの生活習慣も同時に見直す必要があります。
良いニュースは、 積極的にリスク要因に取り組むことで、動脈硬化をある程度改善させられるという証拠があることです。ただし、これは簡単ではありません。喫煙、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール)など、 動脈硬化の原因となる多くの要因に同時に対応するには、非常に積極的なアプローチが必要です。
アメリカ医学ジャーナルに掲載された記事によると、「血管内超音波の使用により、アテローム性動脈硬化症の部分的な改善が明確に実証されています。改善には、すべての主要な心血管リスク要因の管理が必要です。[…] 低密度リポタンパク質 (LDL) コレステロールを積極的に低下させることが 特に重要で、LDLコレステロールが低ければ低いほど、結果が良くなるからです。」*
※アテローム性動脈硬化症とは…動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによりプラークが発生し、それにより血流が減少ないし遮断される病気。
*https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(20)30945-1/fulltext
動脈の詰まりを解消するのに役立つ食品は?
繰り返しになりますが、これらの食品は治療効果 ある訳ではありません。毎日ニンニクを 1 片食べ たからといって、すべての問題が解決するわけではありません。 アテローム性動脈硬化症を防ぐためには、食生活を大幅に変えるだけでなく、運動や喫煙などの 生活習慣も改善する必要があります。 動脈の詰まりを「解消」する食品はありませんが、いくつかの 食材は、動脈硬化の主な原因であるコレステロールを下げ、血圧を下げ、 血糖値を調整することで、心臓の健康に良い影響を与えることが知られています。
食物繊維が豊富な食品
食物繊維はバランスの取れた食事の重要な要素であり、食欲の調節、健康な腸内細菌の栄養源、血糖値の調節などに不可欠です。食物繊維は LDL コレステロール値を下げる働きがあることも知られています。
食物繊維が豊富な食品には、次のものがあります。
- オーツ麦や全粒穀物。
- ひよこ豆、レンズ豆、豆などの豆類。
- 新鮮な果物。
- 野菜、特に葉野菜。
オメガ 3 脂肪酸
オメガ 3 脂肪酸は、サバ、イワシ、サーモンなどの脂肪分の多い魚や、亜麻仁、チアシードによく含まれるアミノ酸です。魚油サプリメントからも摂取できますが、できるだけ食品から摂取するのが理想的です。
米国心臓協会の大規模なメタ分析では、オメガ 3 の摂取量が増えるにつれて、トリグリセリドと LDL コレステロールがほぼ直線的に減少することがわかり、オメガ 3 が心臓の健康に大きく有益な効果をもたらすことが示唆されました*
※メタ分析とは…複数の研究データを組み合わせて、全体としての効果の大きさを推定する統計的分析手法のこと
*https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.123.029512
不飽和脂肪酸
数十年前の常識は単に「脂肪は悪い」というものでした。しかし真実は、体が正常に機能するためには、一定量の食物脂肪が必要であるということです。トランス脂肪酸と飽和脂肪酸は有害であることが証明されていますが、不飽和脂肪は健康に良い影響を与え、コレステロール値を良好に保つのに役立ちます。 赤身の肉や全脂肪乳製品などの飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えましょう。不飽和脂肪は、アボカド、ナッツ、種子などの植物性食品や、エキストラバージンオリーブオイルによく含まれています。
※全脂肪乳製品…成分無調整牛乳などの乳製品
植物由来のタンパク質
一般的に、タンパク質はバランスの取れた食事において重要な要素です しかし、赤身の肉などの動物性タンパク質には飽和脂肪が多く含まれています。代わりに、ひよこ豆やレンズ豆、豆類などの植物由来の食品からタンパク質を摂取することで、健康的なタンパク質と食物繊維を同時に摂ることができます。
植物ステロール*
植物ステロールはコレステロールに似た植物由来の分子で、いくつかの研究ではコレステロール値を下げる効果が 確認されています。 幸いなことに、それらは簡単に見つけることができます。 果物や野菜、マンゴー、柑橘類、カリフラワー、ナッツ、豆類には植物ステロールが豊富に含まれています。
* https://my.clevelandclinic.org/health/drugs/17368-phytosterols-sterols--stanols
避けるべき食材は?
健康的な食生活を送るには、何を食べるかだけでなく、何を避けるべきかも重要です。 一般的に、過剰なナトリウム、飽和脂肪、トランス脂肪、添加糖などの食材は過剰摂取は避けるべきです。 以下のような食品は特に注意が必要です。
飽和脂肪酸とトランス脂肪酸:
食事中の脂肪の種類を区別することは重要です。赤身の肉やバターなどの飽和脂肪を多く含む食品を避け、加工スナック食品などのトランス脂肪を多く含む食品を避けることで、総コレステロール値とプラークの蓄積を減らすことができます。
赤身の肉:
同様に、ハンバーガー、ポークチョップ、ローストなど、赤身の肉の中でも脂肪分の多い部位は、飽和脂肪を多く含む傾向があります。多くの栄養士は、 心臓に良い食事を実践するために地中海式ダイエットを推奨しています。
※地中海式ダイエットとは…豊富な野菜と果物、全粒穀物、健康的な脂肪、魚、適量の乳製品、ハーブとスパイスをバランスよく摂取することで、健康を維持し、病気を予防するための効果的な食事法
過剰な塩分と糖分:
食卓塩やさまざまなナトリウムベースの防腐剤として使用されている塩分は、 私たちが日常的に摂取する多くの食品に含まれています。完全に避けることは不可能ですが、高血圧のリスクを減らすためにナトリウムの摂取量を減らすようにしてください。
これに最適なのは、加工されていない丸ごとの食品です。同様に、ある程度の砂糖は避けられず、また必要ですが、肥満やインスリン抵抗性のリスクを避けるためには、 甘すぎる加工食品や飲料を控えることが重要です。
食事だけの問題ではない
他のリスク要因に対処することも、心臓の健康を改善する上で同様に重要です。
禁煙:
これには電子タバコも含まれます。電子タバコは喫煙と同じくらい危険であるという証拠が増えていますが、どのような問題を引き起こしているのか、また何が原因なのかを正確に知るには、さらに多くの研究が必要です。
血圧の管理:
高血圧は時間の経過とともに動脈にダメージを与えます。定期的な運動、食事の調整、必要に応じて薬を使うことで、血圧を健康的な範囲に保つのに役立ちます。
運動:
座りがちな生活は心臓病の主要なリスク要因ですが、歩くという単純なことでも、身体活動を始めるきっかけになります。 さらに、体重を減らすことによっても心臓病のリスクを低減できます。肥満の人が体重を3〜5%減らすだけでも、コレステロール値や心臓病のリスクが低下する効果が期待できます。
薬の服用:
医師が勧める場合は、薬を服用してください。スタチンは頼りになる薬であり、脳卒中や冠動脈疾患を発症するリスクのある人によく処方されます。
結局のところ、単一の食品、成分、サプリメントですべての問題を解決することはできません。
最終的な考え
心臓病に特効薬はありませんが、飽和脂肪酸を減らし、 食物繊維を増やし、その他のリスクを軽減する包括的なアプローチは、心臓病の予防に大いに役立ちます。ライフスタイルの変更、食事、 および医師との相談に基づいた薬の選択が大切です。
私は引き続き、最新の科学的証拠を追い続け、心臓の健康に関する最新のアドバイスをお届けしていきます。
_____________________________________________________________
この先生が監修しました。
Michael Lee(マイケル·リー)
若々しく力強い生き方の専門家
米国Duke大学卒業
大学病院で医師として様々なライフスタイルの患者を治療
Johnson & JohnsonでPMとして医薬品開発に参加
レイコップ株式会社で代表開発者としてQuality of Lifeに関連した製品を開発_____________________________________________________________
ディスクレーマー
ここに記載されている内容は、医師との関係を代替するものではありません。 このウェブサイトの情報を利用する前に、必ず医師に相談してください。 個々の状況により効果には個人差があります.